ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート 2021年 感想

毎年1月1日の恒例行事となっているウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ニューイヤーコンサート。会場は例年通りウィーン楽友協会の大ホール(いわゆる「黄金のホール」)、今年の指揮者はリッカルド・ムーティ

新型コロナウイルス感染症パンデミックのせいで、今年は異例の、無観客コンサートになりました。

観客が誰もいない黄金のホールを見て、なんとも言えない気持ち(寂しいという思いが近いかな)になりましたが、楽団員の皆さんが折々にする拍手や演奏中に見せる笑顔、世界の人々のリモート拍手(第1部・第2部の後、ラデツキーの後も?)に、ほっとしました。

リモート拍手の企画については以下。

 

 

リモート拍手の際には、お客さんたちの小さな写真がたくさん映ったり、大きめの写真が少数映ったりしていましたが、その中に、着物姿の女性がJAPANと書かれたものを持ってる写真がありましたね。

コンサートの中でも、観客の手拍子がない「ラデツキー行進曲」には寂しさや違和感を禁じえなかったですが、ウィーン・フィルの音だけを純粋に聞ける機会と超ポジティブシンキングをすることにしました。

 それから、海外旅行が困難なご時世ですから、素敵な宮殿や庭、街並みの映像が演奏中に流れた時は、気分が高揚しました。映像といえば、音楽に合わせてのバレエも例年通り素晴らしいものでした。NHKの放送中には楽団員へのインタビューや過去のコンサート映像(クライバーの指揮姿)など貴重なものを視聴できましたが、バレエのメイキング映像が見られたのも良かったです。バレエの映像は事前(記憶に間違いなければ8月)に収録したものだそうですね。

ちょっと残念だったのは、ホールからの中継映像の最後のあたりで、指揮者の名前(と日本語字幕)が出た後に、一瞬画面が黒くなったこと。映像が戻った後はホールを背景に関係者の名前が流れる画面になりましたが、オケの名前を映すシーンは飛んでしまったのでしょうか(私の見落としだったらすみません)。

演奏はもちろん最高でしたが、「美しく青きドナウ」の前にあったムーティのメッセージも心に響きました。いつもだったら曲の冒頭をちょっと奏で始めたところで指揮者が演奏を止めて楽団員と一緒に新年の挨拶をするのですが、今年は曲の演奏が始まる前に(おそらく私が聞いた中では最も長い)指揮者からのメッセージがありました(第2部の冒頭には楽団長からドイツ語と英語で短い発言あり)。

人によって大事なものは違うと思いますが、私にとって音楽が心の健康のために必要な栄養であることを改めて感じる機会となったコンサートでした。